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kizuna 1

それはテレビや本などでよく見掛ける場面。
病気などで熱に浮かされた子どもが、
おかあさんとか、ママとか呼んで母親を求めるシーン。


ある日の夜テレビを見ているとそんな場面に遭遇した。

その頃の僕はまだ小学校の1、2年生だったと思う。

風邪で寝込んでる小さな子ども。
僕とおなじくらいかな?
高熱に浮かされながら目を覚ます。
母親が傍にいない。
そんな不安からか「ママ」と必死に呼ぶ声が部屋に響く。


「太郎、別の見るか?」

一緒にテレビを見ていた父さんは、気を使ってかチャンネルを変えようとした。
「回さないで。見てるの」

いつもならテレビ番組にこんなに執着はしない。

でも何故か気になった。



あの時は気付かなかったけど、僕に気を使ったのではなく、
きっと、父さんが見たくなかったのかもしれない。



テレビの中の子はママを求めて泣いていた。
そして買い物から戻って来たママに甘えていた。


なぜ不安になると求めるのはお母さんなんだろう?
僕はどうするのかな?

僕はきっと父さんを求めるんだろうな?
いない母さん呼んでもしかたがないもの。






それからしばらくして、風邪を引いた。
朝一で父さんに病院に連れて行かれた。

熱が高く布団で横になっている。
枕元にはスポーツドリンクが、ちゃぶ台にはおかゆと薬とポットが置かれてる。


「ほんとに大丈夫か?」

心配して家にいるという父さんに、
「大丈夫だから」と言い張る。

「だって、後はただ寝てるだけだもん」

「だけどなぁ・・・。飯一人で食えるのか?」

「うん。おかゆつくってくれたんでしょ。後は1人で大丈夫だよ」

そう、いつものこと。
僕は一人で平気。


そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、
後ろめたさを残したように父さんは出かけていった。

薬が効いたのか、熱のせいか直ぐ眠りに落ちた。





だるいよ。辛いよ。

目を覚ますと、部屋に1人っきり。


父さん?


そっか、いないんだった。

6畳1間のけして広いとはいえないアパート。


学校から帰ってくると家に1人きりなことが多いのに、
なぜか、今は取り残された気分。

そこに一人で寝ているのが淋しく感じた。
なぜかとても広く感じてしまった。


耳を澄まして物音を拾おうとする。

でも、なぜか静かで・・・。
夜の静けさとはまた違って・・・。


なぜかわからないけど、
この世界に1人っきりにされたような不安感が襲ってきた。

「おかあさん。助けて」

気付くとそう叫んで泣いていた。

お母さん、お母さん、お母さん。
辛いよ。怖いよ。


あれ?なんで?

いないお母さん求めても仕方ないって思っていたのに・・・。




あんなテレビ見たからだ・・・。


でも、高熱に浮かされると不安でお母さん求めるものなんだと知った。
そう、テレビの中の子の、母親を求める気持ちがわかってしまったんだ。


そして、お母さんを求められるその子が、
甘えてるテレビの中の子がとてもうらやましく感じてしまったんだ。

そう思ったらどんどん涙がこぼれて・・・。


父さんが今ここにいなくてよかった。

僕が「おかあさん」って呼んだ声聞いたら、凄く困るよね?
やっぱり傷つくよね?

こんなこと考えたらますます涙が溢れてきて・・・。






玄関のドアが開く音がした。

父さんが帰ってきた。

やはり心配になり、直ぐに切り上げて帰ってきたそうだ。

「太郎?大丈夫か?」

泣きじゃくる僕を見て驚いてる父さん。

「父さん。父さん・・・」

上半身を起こす。

抱きつこうと必死に両手を伸ばす。
そんな僕を抱きしめてくれた。

「やっぱり、傍にいるべきだったな。すまんな」

そんなすまなそうな父さん見て、ますます自己嫌悪に陥る。

不安やほっとした気持ちもあったけど、
でも、それだけではなく自己嫌悪の涙が溢れて止まらない。

そんな幼い子供時代があった。

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