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ここから 2‐① あづみ編 ~宵闇に包まれて~

あづみは駅前のコーヒーショップにいる。

ここから新幹線に乗れば帰れるのに・・・。

駅まで戻ってきたもののこのまま帰る気にはなれず・・・。

目に付いたコーヒーショップに飛び込んだ。



あ~あ、なんでこうなっちゃうんだろ?
どうしていいかわからなくなって逃げて来たのは私の方だ。 

岬くんに偉そうに『逃げてるだけ』なんて言ったくせに、
逃げてきたのは私の方だよ。



でも岬くん、あんなこというなんて・・・。




~~『サッカーしてる岬くんが好き』~~

確かに、サッカーしてる岬くんがかっこよくって・・・。
でもそれはきっかけだっただけで・・・。
練習など頑張ってる姿、みんなに教えてる時の優しい顔、
そう、優しさに惹かれていったんだよね。
困った時助けてくれたり、それがごくごく自然で・・・。
そんなさりげない優しさが好きで・・・。

かわいい顔してるくせに、意外としっかりしてて・・・。
人は見た目じゃないんだなぁって。


告白する勇気がなかった私は、
友達の関係壊すのが怖かった私は、
ただ「好き」って言いたくて、伝えたくて、
いつもの軽いのりで言ったんだ。

「サッカーしてる岬くんてかっこよくって、だ~いすき」

『だ~いすき』の後にはハートマークいっぱい付いてるイメージで、
心の中で思い込めて言った。

「優しい岬くんが好き」とかだと、いかにもって感じで嫌だったから、
だから、『サッカーしてる岬くん』って言ったんだよね。

そのこと覚えていたんだ・・・。


~~『あづみなら、岬くん守ってあげそう』~~
小学生の頃友達に言われた言葉。

~~『私は守ってあげるより、守ってもらいたい』~~
こんなこと言っちゃったけど・・・。

好きになったらそんなこと関係なくなっちゃった。
守ってもらいたいとかそんなのどうでもよくなって、
傍にいられるだけでいいって思えて。

でも、でもね、私は守ってあげるタイプじゃなかったみたい。

こんなことで戸惑って、どうしていいか分からなくなって逃げてきちゃうんだもの。

それにあのままいたらもっと酷いこと言っちゃいそうで・・・。





テーブルの上にはサンドイッチと、チーズケーキ、アイスコーヒーが並んでる。

アイスコーヒーは氷が溶け出して、コップの外側に水滴を作る。
その水滴が溜まって、コップの廻りに水溜りを作る。

その水滴と水溜りが彼の涙と重なる。


私って酷いね。

岬くんがあんなこと言うなんて、きっとそれだけ追い詰められてたんだ。

それなのに・・・。

落ち込んでる岬くんにひどいこと言って逃げてきて・・・。

余計傷つけて・・・。

ああいう時こそ傍に居てあげたいのに・・・。あげるべきなのに・・・。



ポケットから携帯を取り出し握り締める。

握り締めながらもしばらくいろいろなことを考えた。

なんて言えばいいんだろ?

どうしよう?

謝るつもりで携帯取り出したのに・・・。





院内では当然携帯電話の電源切ってることが多いわけで・・・。

「なにかあったら、メールか留守電にお願い。
 こっちからも掛けるし・・・。
 あ、なにもなくてももちろんかまわないよ。
 でもメールよりも、留守電に吹き込んでおいてくれると嬉しいな。
 そしたら声聞けるし。
 なんてね。」


あの時の照れた顔を思い出してしまう。

でも今回の事は、留守電や、メールで済むことじゃないよね・・・。


ふと外に目をやると、辺りは宵闇に包まれていた。




ずっと握り締めていた折りたたみ式の携帯を開いて、始めて時間を確認する。
どうやらかなり長居したみたい。

普通だったら、とっくに家に帰り着いてる時間。
そう、いつもなら岬くんから電話がくるんだよね。

「無事帰り着いたかなぁって」

心配そうに掛かってくるんだよね。

「いちいちそんなことで電話してこなくてもいいよ。
 そんな心配しなくても大丈夫よ。もう、直ぐそうやって子ども扱いするんだから」

素直じゃない私は、ほんとは嬉しいくせに、
ちょっぴりすねてこんなこと言っちゃって・・・。

それに、電話してくるってことは、部屋にいない訳で・・・。
屋上?中庭?外から掛けさせるのも悪いって思っちゃって・・・。

でも、それからは帰ると電話かメールするようにしてた。

こっちから帰ったコールし忘れると、
岬くんのほうから電話かメールがきて・・・。

でも、でも、今日は電話もメールもしてくれないんだね。

当然だよね。



岬くんのところに戻ろう。
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