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a little love ~後編~

杏奈と本屋に買い物に行く。
大学のレポートの資料になる本を買いにきた。

ふとスポーツ雑誌コーナーに目が行く。
並べられた岬くんの写真集が目に飛び込んできた。
表紙はいつもの笑顔。
FANのみんなが大好きなあの笑顔。

ページを捲っていく。
サッカーしてる岬くん。
こっちはリハビリの時かな?

そして色々な表情の岬くんがいた。


「あづみ、何見てるの?・・・。 岬くんの写真集か」
「違うの」
「え、違うって?」

「わたし、この写真の顔じゃない顔いっぱい知ってる。笑顔も・・・。
 確かに、ここに載ってる笑顔も優しそうでかわいくって・・・。
 でも、上手く言えないけど、もっと自然というか・・・。
 それにね、笑顔でも、ほんとに見てるこっちまで辛くなりそうな笑顔とか・・・。
 笑顔だけじゃない。
 リハビリの時の辛くて苦しんでる顔とか・・・」

写真集に載ってない顔いっぱい知ってるよぉ。

「そういう顔見られるのは、あづみだからでしょ?」
「私だからかぁ」

涙が零れた。

写真集握りしめたまま泣いてる私を見かねた杏奈。
私から写真集を奪い、手を引きレジのほうへ。

「あづみは外で待ってて」

ここは杏奈のアパートの近く。
レジでお会計を済ませた杏奈にそのままアパートに連れて行かれた。

テーブルに向かい合い、カーペットの上に腰を降ろす。
写真集を開く杏奈。

「あづみ、ここ見て」

杏奈が指差したのはインタビューのページだった。

そこにはこう書かれていた。

好きな女性のタイプ

『笑顔の似合う元気な人。
 いつも明るくって、見ていてこっちが励まされるような・・・。
 気が強くて勝気で、でも芯はとても優しくて時々泣き虫な人』


「これってまんまあづみじゃないの?」

そっか、これって私の事なんだ・・・。
岬くんから見た私ってこんな感じなんだね。

「うん。そうだね」

私が勝手に遠い存在にしちゃってたんだ。
岬くんは変わってないね。

「電話してみる?」
私の気持ちを察した杏奈に先に言われてしまった。

「でも、いきなり掛けても迷惑とか・・・」
どうして決心つかないんだろう?
 
「あ、ちょっと・・・私の携帯・・・」
躊躇ってる私を他所に、杏奈が携帯をいじってる。
岬くんのナンバーを勝手に呼び出し渡してくる。

「はい」

うわあどうしよう? 
呼び出し音鳴ってるよぉ。
出ませんように・・・。
あ、でも出てくれないのも困るかも・・・。
覚悟なかなか決まらない私。


電話が繋がる。
久しぶりに聞く岬くんの声。
岬くんの声ってほんとに心地よく響く。




そして・・・。

「バカ、何考えてるのよぉ」
そう怒鳴って思わず電話切ってしまった。

「わぁ~、どうしよう?切っちゃった。電話切っちゃったよ」
「はぁ、バカはあんただよあづみ。かわいそうに岬くん・・・」
杏奈がつぶやく。
自分でもそう思います。

でも・・・。

「だってだって、大学に押しかけようと思ったとか言うんだよ。
 有名人なのにそんなことしたら・・・」

『何でメールも電話も無視したの?』
『でもよかった。あづみちゃんから電話貰えたから。
 大学か家まで行こうって・・・そう考えてたよ』
岬くんに電話で言われた言葉。


「あ~ん、どうしよう?」

ごめん。私、岬くん傷つけてばかりだね。
私から掛け直したほうがいいよね?掛け直すべきだよね・・・。
携帯握り締め考えていると、鳴り出した。
「きゃあ」
思わず放り出してしまった。

ええい。いつまでもうじうじ悩んでるなんて私らしくない。
ちゃんと謝らなきゃ。気持ち伝えなきゃ。

覚悟を決め携帯を拾う。
通話ボタンを押す。

「あの、岬くん、さっきは電話切って」ごめんね。と言いたかったのに、
岬くんの言葉で遮られた。
人が話してる時に割り込んでくるなんて珍しい。


「ええ~っ、こっちに向かってる?」

そんな訳で、以前待ち合わせした場所で会う約束をした。




待ち合わせ場所に着いた。
岬くんと目が合う。
思わず逃げ出してしまった。
なにやってるんだ?私は。

当然岬くんの足にかなうわけもなく、
あっという間に追いつかれ腕を掴まれた。

「離して」
つい反射的にでてしまった。でもあの時とは違う思い。
本当は離して欲しくないのに素直じゃない私。
また岬くん傷つけた。


「いやだ。今度は離さない」
そう言って抱き締めてきた。
岬くんの腕の中にすっぽり収まってる私。

「僕ね、あづみちゃんだけには遠い存在って言って欲しくなかった。
 そう思われたくなかった。だからつい怒っちゃって」
「うん。うん。ごめんね。」
「なんで先にあやまるかな?僕こそ怒ってごめん」

「なんで岬くんが謝るの?」
涙が込み上げてくる。
だめ。泣いちゃだめ。きちんと気持ち伝えるって決めたんだから。

「悪いのは私。わたしが嫌な子になっちゃってた。
 わたしが我が儘で欲張りになっちゃってた。
 ごめんなさい。でもわたし岬くんが好き」
我慢できず最後の方は泣きながらの私。

「あづみちゃん。僕もだよ」
そう言う岬くんも泣いてて。

「あ~、もう、岬くんまで泣かないでよ」
結局は憎まれ口の私。
何でこういうこと言っちゃうんだろう?


「うん。ごめんね」
そう言って泣いた顔のまま優しく微笑んで・・・。

こんな顔見られるの私だけだね。
私の特権。

そしてそんな岬くんの顔見ていたら・・・。
衝動が抑えきれなくなって・・・。
思わず岬くんの唇にキスをする。

岬くんは戸惑ったような顔を浮かべ怒ってる・・・。
ううん、怒ってるんじゃない。拗ねた顔だ。

「たくぅ、あづみちゃんは、僕がしようと思ったこといつも先にするんだもん」
そう言って拗ねた顔。

こんな顔見られるのも、私だけかも。
そう思ったら嬉しくって可愛くって・・・。
くすくす・・・。
思わず笑ってしまった。
「でもよかった。あづみちゃん、やっと笑ってくれた」

そう言って岬くんの唇が私の唇に優しく触れる。

私の瞳から涙が溢れ出す。
岬くんの胸に顔を埋める。
優しく髪を撫でてくれる岬くん。

「もう離さないよ」

そんなこと言うから・・・。
ますます涙が溢れてくる。

今だけ・・・。
泣いたらまた笑顔の私に戻るからね。

わたしも、ずっと傍にいる。
もう迷わない。







あとがき

「遠い存在」の続きです。

あづみちゃんのイメージが・・・。
原作でのイメージは、さっぱりしたイメージで・・・。
こんなにうじうじ悩むような子ではない気が・・・。

最初は岬くん登場予定ではありませんでした。
大学のシーンから、あづみちゃんが電話するまでで・・・。
それも自分で決心して、謝るために電話をする・・・。
はずだったのになぁ・・・。

キスも勝手にしてくれちゃって・・・。
もはや書いてる私を無視してあづみちゃんは動いてくれてます。

岬くんが優しくキスして終るはずだったのになぁ。
何で先にするかなぁ?

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