スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
line

StarDust ~前編~

StarDust ~前編~

わーい。デートだ。

岬くんに誘われちゃった。

ワールドユース決勝で無理をし過ぎ、リハビリを余儀なくされた岬くん。
東京と静岡だとお見舞いにもあまり行けなくって・・・。

でもそんな中、時間作って先日もお見舞いに行ってきた。

その時に言われた言葉。

「今度一緒に出かけようか?どこか行きたいとこある?」

これってデートのお誘いよね?

そうよ。その前は大事な人って言ってくれたし・・・。
あ~ん。かなり有頂天な私。

あ~、何着ていこ。
今日のために気合い入れてきました。って感じのおしゃれはやだし・・・。
でも少しぐらいは・・・。
あ~、でも岬くんて洋服とか無頓着そうだし・・・。
いつものボーイッシュでカジュアルのほうがいいのかなぁ?


行きたい所かぁ?・・・。
遊園地・・・。子ども過ぎ?
それに脚怪我してるのにきついよね?

一緒にお買い物。
洋服とかお互い選びっこ・・・。
買い物も歩くかぁ。

映画・・・。う~ん・・・。

あ、そうだプラネタリウム。
新しくできたって大学で話してたっけ。
フランスにいる時、一緒に夜空見上げとことあったっけ。
だから岬くん星好きよね。
うん決めた。


休日はどこも混むから、平日。
私の大学が午後休講の日にしよう。




そしてデートの日。
冷え込みが厳しくって寒い日が続いたけど、
今日はよく晴れてて気持ちいい。小春日和だ。
よかった。めっちゃデート日和。

大学の友達に「デート?」と言われるのが嫌で、
結局いつものカジュアルな恰好。
でもでもその中でも少しおしゃれ目の服。
ふりふりのチュニックに下は結局黒のジーンズにしてしまった。
ピンクのふりふり選ぶところがちょっと意識してる・・・。


講義は半分上の空・・・。
早く終わらないかな・・・。
何でこういう時って時間が経つの遅く感じるんだろ?

講義が終わると
「ランチしてこ」という友達に、
「用事あるから」と答えると、
浮かれてる私見て、
「何、デート?」
と聞いてくる。
その友達を置き去りにして走り出していた。
早く会いたいんだもの。


待ち合わせ場所に着くと岬くんはすでに来ていた。
「お待たせ。み…」
岬くんと呼ぼうとして慌てて口を噤む。
「ねぇあれ岬くんじゃない?」
「岬くんてサッカーの?こんなとこにいるかなぁ?」
そんな会話が聞こえてきた。
当の本人は聞いてないのか、慣れっこなのか、
我関せずといった様子。
やっぱり知ってる人は知ってるんだな。
高校3年の頃私が日本に帰ってきた時もすでに人気あったし。
この間のワールドユースでますます人気者になっちゃって。
あのジャニーズ系の顔だからサッカーあまり知らない人の中にも、
アイドル的な感覚なFANもいる。

今も、岬くんのこと知らない人たちが、色々言ってる。
「ねえねえあの子かっこいい」
「うんうん。でもかっこいいというよりかわいい」
「綺麗な顔だよね。」
不躾にじろじろ見ていく人もいる。
プロに行ったらどうなるんだろ?
そんなこと考えてしまった。

「あづみちゃん?どうしたの?ぼぉーっとしちゃて」
優しく呼び掛ける岬くんの声に我に返る。
「ううん。なんでもない。一緒に出かけられるのが嬉しくって」
「ではお姫様、どちらへまいりましょうか?」
そう言って私の手を取る岬くん。
相変わらず優しい笑顔。
こっちが照れるようなことを、時々平気で言ってくる。
時折見せるおどけたところもかわいくって好き。

「お姫様かぁ・・・」
「うん。かわいい格好してるから」
え・・・。かわいい格好って。岬くんに言われちゃった。
まさか気づいてくれると思ってなかった・・・。
うれしい。
でも、今日のために選んだと思われるのが嫌で、
そして照れくさくて、
「だって、大学行くとみんなオシャレなんだもん」
と、結局いつもの調子で言ってしまった。 
嬉しいのに素直じゃないなぁ私。
でも岬くんはそれ見透かしたような顔して笑ってる。

「では王子様、お供よろしくお願いします」
「王子様ね。騎士(ナイト)さまじゃなくていいの?」
「だってお姫さまの横には王子様だもの。
 それに騎士(ナイト)さまだったら・・・」
「うん?なに?」
「何でもない。いこ。 
 今日の予定はランチしてプラネタリウムね」
だってお姫様と騎士(ナイト)さまだったら結婚できないもん。
そう言いそうになってしまった。
会えるだけで嬉しいのに、そばにいるだけで幸せなのに、
恋すると欲張りになっちゃうなぁ。

ランチは、以前友達と行ったお店。
中に入るとカップルで来たくなるそんな雰囲気が漂っていた。
そしてその通り、カップルが半分以上いた。
「次はお互い恋人ときたいね」
そんな話をしていた。
いつか岬くんと一緒に来たいと思っていたお店に二人で来られるなんて、
やっぱり幸せ。




ランチしてプラネタリウムを見た後、
天気もいいし、土手を散歩することになった。
「あっサッカーやってるよ」
見ると小学生が練習してた。
「ちょっと行ってきていい?」
わたしの顔を覗き込む。頷く私。
あんな無邪気な顔されたら止められないよ。
「ごめんね。ちょっとだけだから」
そう言って駆け出して行ってしまった。
あんなに走って大丈夫なの?

今の私ちょっぴり呆れた顔してるかも・・・。
確かに河川敷で練習してる光景、よく見かけるもんね。
「散歩しよう」と岬くんが言いだして、
「そんなに歩いて大丈夫なの?」って心配して聞くと
「歩くのもリハビリのうち」なんて言ってて・・・。
これが目的だったのね・・・。

見るとすでに子供達に混ざって走り回ってボール蹴ってる。
いいのかなぁ?

ようやく土手を下りみんなのとこへ行くと、練習しばし中断。
岬くんに話しかけてる子供たちの会話が聞こえてきた。
「お兄ちゃんサッカーうまいんだね」
「あー、どっかで見たことあると思ってたんだけど、岬選手?」
「わあ岬さんとサッカーできるなんて凄い」
なんか子供達にも人気あるんだ。
懐かれてるみたいだし・・・。

岬くんが私のほうを見る。
ごめんね。もう少しって顔してウインクしてきた。

私はグラウンド脇のベンチに腰掛けて、練習の様子を見つめる。
サッカーしてる岬くんほんとに楽しそう。
無邪気な顔してるなぁ。
しばらく見とれる私。
どれくらい見とれていただろう?
彼の脚、怪我した脚が心配になってきた。
心配で曇った顔になってるなぁ。私。

そんな私を見た子供の一人が
「お姉ちゃんほっといていいの?怒ってるみたい」
なんて言ってる。
「怒ってるわけじゃあないよ。心配なだけ」
子どもに突っかかる私は大人げないかも・・・。
「そうだね。僕はそろそろ」

「そっか、この間の試合、大怪我で出てたもんね」
「うん。すごかったよね」
「優勝おめでと。また岬さんのプレー見たいなぁ」
「早く脚治してまた試合に出てね」
子供たちの言葉を聞いてほんの一瞬泣きそうな顔になる岬くん。
「うん。ありがと。みんなも練習がんばってね」
「もちろん。だって岬さんみたいな選手になるんだもん」
「そっか。小さなライバルだね」
岬くんはそう言って、
照れた様子でその子の頭をくしゃくしゃと撫でる。





子供たちと別れ歩き出す。
先ほどこらえていたのが抑きれなくなったように、
彼の頬を一筋の涙がつたうのを私は見てしまった。
思わず彼の腕をぎゅっと握りしめる。
「岬くん?・・・」
掛ける言葉を探す。
なんて言葉をかけていいか分からなかった。

でも私が声をかけるより前にいつもの笑顔に戻っていた。
「ごめんねあづみちゃん。今日はどこでも付き合うって言ったのに
 結局付き合わせちゃったみたい」
「ううん。いい。楽しそうな岬くん見られたから」
「ボール蹴ったの久しぶりだったから・・・」
「えっ?」
一瞬話そうかどうか悩んだ顔をする。
でも涙見て戸惑った私見て、話さないわけにはいかない。
そう思ったみたい。

「ほんとは芝崎先生からボール蹴るのまだ止められてたんだよね」
それなのにサッカーしちゃって、まじめな彼らしくない。
「見るだけのつもりだったんだけど、つい・・・」
そう言ってぽつぽつと語りだす岬くん。
「リハビリが思うようにいってなくって、
 正直言ってもうサッカー出来ないんじゃないか。
 そんな不安もあって・・・。
 だからどうしてもボール蹴りたくなっちゃったんだよね」
「岬くん・・・」
ごめん。わたし、岬くんがそんなに悩んでるなんて気付かなかった。
一人で浮かれてた・・・。
「あづみちゃん、そんな悲しそうな顔しないで。もう大丈夫だから。
 僕はやっぱりサッカーが好き。だから絶対復帰するよ。
 それにね、子供たちまで応援してくれてるんだもん。
 僕がめげてる場合じゃないよね。」
そう言った岬くんは吹っ切ったように、
一点の曇りもない澄んだ笑顔をしていた。
「岬くん・・・」
よかった。私も笑顔で元気に頑張るから・・・。


冬のこの時期、日が沈むのは早い。
すでに空は夕焼けで染まっていた。

スポンサーサイト
line

comment

Secret

line
line

line
sub_line
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。