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幼い日の素敵な一日


『幼い日の素敵な一日』





引越しの片付けの途中、アルバムを見つけた。
そのアルバムを開いて、懐かしそうな顔を浮かべる。

そして、それを覗き込む人影。
「何を、見てるの?」

覗き込んだ人影からも、声が漏れる。
「わ~あ、懐かしい。  
これ、    ・・・だったんだね」

「えっ?」

アルバムを見ていたほうの人が、覗き込んだ人の顔を見る。
そして、面影を見つけたのか、「そうだったんだ」と呟いた。

アルバムには、同じ年頃の幼い子供が2人写っていた。











一人の子が、高原を走り回っていた。
セミロングのさらさらヘアーの子ども。

「いたっ」

何かに躓いて転んでしまった。
躓いたのは、横になっていた同じ年頃の子どもだった。

「もう、なにすんの?せっかく気持ちよく寝ていたのに・・・」

そういって上半身を起したのは、ショートボブの子どもだった。

まだ小学生低学年か、未就学児童のその子どもたち・・・。

「ごめんなさい」

でも、こんなところで寝てる方も悪いような・・・。

そう思いつつも、威勢のいい言い方に、躓いた方の子が謝る。

きつい言い方をされたせいか、転んで擦りむいた膝が痛かったのか、涙ぐんでいた。


「あ~もう、こんなことでいちいち泣かないでよ」

「ごめん」

「いちいち謝らなくても・・・」

「ごめ・・・」

三度謝りかけた相手の顔を、あきれたように覗き込むと、

「もう!」

と不貞腐れた声を出し、再び横になってしまった。


「ねぇ、こんなところで寝てると、風邪引いちゃうよ」

セミロングの子が心配して言った。

「でも、気持ちいいんだもん」

「ふうん」

まねして、隣りに横になってみる。

ほんとだ。気持ちいい。
緑のジュータンの中で寝てるみたい。
日差しが優しくて、風が心地よい。


いつの間にか、心配して声を掛けた方の子が寝ていた。





「ねぇ、起きてよ。起きてってばぁ」

ショートボブの子が、膝をついて揺さぶり、起こそうとしている。

「こんなとこで寝てると風邪引くって言ったの、きみでしょ?」

「う~ん」
と体を起こすも、へたりこんだ格好で目をこすっている。

「ねむい」

そう言いなから、目を手の甲でこするその姿は、妙にかわいらしく見えた。


「ねぇ、追い掛けっこしよ~よ」

そう言うと、ショートボブの子は走り出した。


「えっ、待ってよぉ」

「こっちだよぉ」

そう言って逃げ回る。

「もぅ、待っててばぁ」

2人で走り回っている。



「あっ、」

逃げていた子は、屈み込みなにかを掬い取る。

「何してるの?」

追い掛けていた子が不思議そうに覗き込む。

屈んでいた子が立ち上がり、
「手、出して」
と言った。

言われるままに両手のひらを揃えて差し出す。

「はい。あげる」

差し出された手のひらに、
今つかまえたものを置いた。

「わぁ、バッタだ」

受け取った子は、嬉しそうに微笑んだ。

「なんだ。泣くと思ったのになぁ?」

ちょっぴり意地悪なことを考えいたのになぁ?

「だって、ボク、虫好きだもの。かわいい」

「ふうん、そうなんだ」

「うん。・・・ あっ」

バッタは、放物線を描いて手の中から跳ねた。

「あ~あ、逃げちゃった」




「ねぇ、かけっこしよ。あそこに木が見えるでしょ?
 どっちが早いか、よ~い、どん」

言い終わるか終わらないかのうちに、ショートボブの子は走り出していた。

「ああ、もう、ずるぅい」


セミロングの子はもともと足が速いのか、木にたどり着いたのはほぼ同時だった。

「あ~あ、ぼくのが速いと思ったのになぁ。キミ、速いんだね?」

かけっこに誘った、先に走り出した方の子どもが言う。

「そんなことないよ。キミも速かったよ」

「そうかなぁ?」

といいながら、その木を登りだしていた。

「ねぇ、木登りしよう」

登り出してからそう声を掛ける。

「えっ、危ないよぉ」

その木は、子どもの足でも届く位置に、洞が出来ていた。
その穴に足を掛けると、手の届く位置で幹が二股に別れていて、そこによじ登っていた。

「こないの?」

「えっ、だって・・・」

登っている子と、地面を交互に見ながら、泣きそうな声をあげる。

「ねぇ、降りてきてよぉ」

「こわいんだ?」

そう、からかうように言うと、その上の枝に手を掛ける。

「だめだよぉ。降りられなくなっちゃうよ」

下にいた子はそういうと、登ってる子を止めようと思ったのか、自分も登りだした。

「なんだ、登れるんだ?」

木登りとはいえ所詮はこども。登れる高さなんて知れたもの。

先に登りだした子も、それ以上は登らず、枝に伸ばした手を引っ込めた。

二股に別れた幹に、並んで腰掛ける。
2人はなんとはなしに、そこから見える景色、(といっても草原や、青空など)を眺めていた。
いつも見ている景色が、二人で見るとどこか違って見えた。
しばらく眺めていた。

「もうおりよーよ」

そう言うとセミロングの子が、先に降りた。
ショートボブの子どもは腰掛けたまま、手を幹につき飛び降りた。

着地失敗。
よろけて、先に降りた子を押し倒すように、2人で転んでしまった。
下にいた子の上に、飛び降りた子がかぶさる形になった。

「わーん、いたーい」
と、言って泣き出してしまった。

「あっ、ごめん」
そう言いながら、上になった子が立ち上がる。

下敷きになった子は、膝を擦りむいて血が出ていた。

しくしく・・・。
しゃがみこんだまま、手を目に当てて泣き続ける。

「もう、あやまったでしょ?そんなに泣かないの」

半ば呆れて、半ば怒ったように、腰に手を当てて言う。

「もう、いちいち泣かない」

そのきつい言い方に、怯んでしまったのか、余計泣き出してしまった。

「だって・・・」

くすん・・・。

「もう、泣き虫なんだから・・・」

「ごめ・・・」

ふぅ~、悪いのはこっちなのに・・・。

「ほら、立てる?」
そう言って、右手を差し伸べた。

「うん」
泣いていた子は、その手を取り立ち上がった。

「歩ける?」

「うん」

「おばあちゃんちで、ばんそうこう貼ってもらおう?」

2人は手を繋いで歩き出した。

「あのね、」
手を引かれているこは、何かを言いた気にショートボブの子の顔を見る。
「うん?」とショートボブの子は首をかしげた。

「ありがと」
と精一杯の笑顔で言ってきた。

こんなことでお礼を言われると思っていなかったから、一瞬戸惑いを見せる。
でも、相手の笑顔に、くす、っと微笑んで「うん」と答えた。


着いたのは、田舎によくある、平屋建ての家。
庭から縁側に回った。

「おばあちゃん・・・」
縁側から家に顔を突っ込み祖母を呼ぶ。

「おかえり」
その声に反応して、祖母が出てくる。
孫の左腕に目が行く。
そして、もう一人の子どもを確認した。

「あら、お友達?」

「こんにちは」

祖母の目が、その子の左脚に行く。
「あらまあ、2人とも怪我して・・・」

そう言って部屋に引っ込む。

子どもたち2人は、縁側に腰掛けた。
ショートボブの子は左手を擦りむいていた。

「キミも、怪我してたの?痛そう」

「木から飛び降りた時に・・・。でも大丈夫。いつものことだもの」

祖母は救急箱を手に戻ってきた。

汚れたところを拭いてもらい、バンドエイドを貼ってもらった。
セミロングの子は泣きそうなのを、我慢してる感じだった。
ショートボブの子は平然としたもの。

そんな孫の友達の顔を見たからか、祖母はアイスキャンディを持ってきた。

「はい。どうぞ」
二人にアイスキャンディを配る。

「わは、ありがとう」
それを嬉しそうに受け取った。

縁側に2人並んで、アイスキャンディを食べる。

祖母は、カメラを手に庭に出た。

「はーい、笑って」

カシャ・・・。











早川あづみは、引っ越しの荷解きの際、一冊のアルバムを見つけた。
そのアルバムを久しぶりに捲ってみた。


昔を思い出したあづみの顔には、懐かしそうな笑みが浮かんでいた。


「何を、見てるの?」
あづみの見ているアルバムを、覗き込む人影。
覗き込んだ人影は、何かを思い出している風だった。
そして、思い当たったように、

「わ~あ、懐かしい。・・・・・
 これ、あづみちゃんだったんだね・・・」

と言った。

「えっ?」

あづみは覗き込んだ岬の顔を見る。
そして写真と見比べる。

面影を見つけたのか、「そうだったんだ」と呟いた。

「やだぁ、これ岬くんだったんだ。なんか、びっくり」

「うん。そうだね・・・。
 でもさ、あづみちゃん、フランスで始めて会った時、気づかなかったの?」

確かに、何回かこの写真見た。 だけど・・・。

「だって、この時の岬くん、ずっと女の子だと思っていたから。
 今の今まで男の子だったなんて考えもしなかった」

「そうなの?」

「うん」

「お互い名前も名乗った記憶ないし・・・」

「確かに、名前知らないまま遊んでいたね。
 でもさ、僕、あの頃も自分のこと『ボク』って言ってたけどなぁ・・・」

「だって、私と同じと思ったから。私も自分のこと『ぼく』って言ってたし・・・」

「そういえばそうだね。
 思い出した。僕はキミのこと男の子だと思っていたし・・・」

「私ね、あの頃、男の子になりたくて、自分のこと『ぼく』って言ってたんだよね、
 あの頃の岬くんも、自分のこと『ボク』って言う女の子だって思ってたんだもの」

「そうなんだ」

「それに転んで泣いてるし・・・」

「しょうがないじゃない。まだ子どもだったんだから・・・」

「でも、私、泣いてないもん」

「・・・」
言葉に詰まってしまった。
『確かにそうでした』そう心の中で思っていた。

「それに、どう見ても女の子にしか見えなかったよ。
 あれで男の子なんて反則だよ」

「・・・」

「泣き虫だったんだねぇ」
あづみは、色々言ってからかっている。


くすん・・・。
岬は、手を目に当てて泣き出す。

「もういちいち泣かないでよ」
あづみが呆れたように言う。

「ふふ、やっぱりそう言ってくると思った」
と笑った。

あづみも当然の事ながら泣き真似ってわかってるわけで・・・。
こういう所の息はぴったりかもしれない。

「懐かしーね」
「懐かしーね」
二人の声が重なる。
そして、2人で笑いあった。


「岬くんは、色々な人と出会ってきて、その出会いの中に、
 フランスで会う前の、幼い私と会っていた時代があったんだね。
 そう思うとほんと不思議。でも、でもね、幸せ。
 だって、今じゃ絶対あんな岬くん見られないもんね」

「確かに・・・。『ぼく』と言うあづみちゃんにも、もう会えないだろうしね」

「うん。女の子の時の岬くんにも」

「だから、女の子な時代なんてないから」

「くす」と笑いながら、
「でもね、おばあちゃんだって女の子だと思っていたんだから。
 あんな女の子になりなさいって言われたよ」

「そうなの?」

「うん。そうなの」

「あの子も『ぼく』って言うんだよ、って言っても信じてもらえなかったし」

「まあ、あの頃は引っ越した先でもお隣のおばさんに、女の子と間違えられたくらいだし、
 しょうがないと言えばしょうがないけど・・・」

「でしょでしょ、あれで男の子なんて反則」

まだ言うか・・・。はぁ~~

「ところで、おばあちゃんは、まだあそこに住んでるの?」

「うん」

「会いに行きたいなぁ・・・」
でも、覚えているんだろうか?

『まだ遊びにきてね』と言われたのを、思い出していた。
でも、あの頃の約束、今更って感じか・・・。

「会いに行ってみる?でも驚くだろうなぁ・・・」
だって、女の子だと思っていた子が、こんな素敵な男の人になってって・・・。













2人は、幼い頃遊んだ高原に立っていた。

「わー、懐かしい。あの木・・・。あの木に登ったね」
彼は、昔を思い出して言う。

そして、

「ねぇ、登ってみようか?」

と言い出した。

「えっ、・・・」

ためらうあづみ。

「いいから、いいから」

岬はあづみの手を引き、木の前に連れて行く。
先に登り、手を差し伸べる。

「大丈夫、低いし・・・」

そう言って一人で登る。

あの時と同じように、二股の部分に二人並んで腰掛ける。

「なんか、あの日と同じ景色が見える」
あづみが言う。

「えっ、」

「ぼくね、岬くん帰っちゃった後もさ、次の年もさ登ってみたけど、
 なんか、二人で見る景色と違う気がしたの。
 でも、それは、隣に君がいるかいないかってことだったんだなぁって」

「ふっ、」岬は優しく微笑んだ。
「あづみちゃん、今、『ぼく』って・・・」

「うん。昔を思い出して、ちょっと言ってみただけ。
 もう言わない」

「そっか」

2人はしばらく、昔の思い出を話していた。



「さてっと、そろそろいこうか?あまり遅くならないうちに・・・」
岬は、そういうと飛び降りた。
そして、手を差し伸べた。

ふふ
あづみの口から笑いが漏れた。
昔は、ここで転んで、ぴいぴい泣いていたくせにねぇ。

「ありがと」

あづみは差し出された手を取り、木から降りた。




祖母の家に着くと、あの日と同じように、庭から縁側の方に回る。

「おばあちゃん・・・」
あづみが縁側から部屋の中に向かって呼びかける。

祖母は、2人を見て、あの頃の事を思い出したようだ。
部屋に上がると、居間にあの日の写真が飾ってあった。

「へえ、この写真の女の子がねぇ・・・、こんなに立派な青年になっちゃって・・・」
祖母はとても驚いた顔をしていた。と同時に嬉しそうな顔もしていた。

「へえ、あの時の女の子がねぇ・・・」

『だから、女の子だったことはないです』
心の中で思う。

あづみは、それを聞いて隣でくすくすと笑っていた。

「そうそう、ちょうどアイスキャンディがあるのよ」

そういうと、冷凍庫からアイスキャンディを取り出した。

2人で、縁台に腰掛けてアイスキャンディを食べる。
子供の頃と同じように、祖母はカメラを手に庭に出た。

そして、「はい、笑って」と昔と同じように写真を撮った。




しばらくして、
祖母の居間には、2人の子どもの頃の写真の横に、
同じ構図の、大人になった2人の写真が並んでいた。


あづみのアルバムにも、アイスキャンディを2人で食べている幼き日の写真の横に、
この写真が加わっていた。











あとがき

実は、GCではじめは考えていました。
翼くんと岬くんは、幼い時に会っていてって設定にて書こうと思っていたのです。

幼い頃、空き地かなんかでサッカーしていて、
翼くんちの写真に幼い日の翼くんと岬くんのツーショットの写真が残っていて・・・。
でも、GCでは書けませんでした・・・。
というか、私が翼×岬だったらかけたのかと思うのですが・・・。

やっぱりうちはうちでございます。

私は、原作の2人の出会い、土手のすれ違い、あの設定凄く好きです。


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