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近くて遠い 遠くて近い蒼空 2-①

『近くて遠い 遠くて近い蒼空』 2-①


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サッカー部での紅白試合、先輩に削られ脚首を捻った。
でも、レギュラー取りに向けての大事な時期。
隠して最後までプレーをしようとした。

この時の紅白試合は本当の試合と同じだった。

高校サッカーの試合時間は通常40分、決勝は45分。
45分ハーフで行われた。
怪我をしたのは前半だった。
残り時間は、痛みを顔に出さないように必死にプレーした。

そしてハーフタイム。

自分でテーピングして後半も出ようと、こっそり抜けて部室へ向かった。
その途中、

「岬くん、怪我大丈夫?」

心配して、追いかけてきた彼女に声を掛けられた。

そのタイミングがあまりにも、フランスでのシチュエーションにそっくりで・・・。

「あづみちゃん?」思わずそう返事してしまった。
「早苗ちゃん?」・・・。
慌てて、「早苗ちゃんと呼んでいいかな?」
とごまかしたものの、腑に落ちない顔してて・・・。

それ以上詮索されるのも困るので、何食わぬ顔で話を続けることにした。

「よく気付いたね?僕が怪我してるってこと」
    
「保健室はあっちよ。どこ行くつもりなの?」

僕の歩いていく方向と、逆の方向を指差し言ってくる。

「部室で手当てして・・・」

「で、試合でようと思ったわけ?」


見透かされてる・・・。

腕をとられ、部室とは反対のほうへ引っ張られていく。

「保健室で見てもらおう?」

「でも・・・」

「ここで無理して、レギュラー取っても、
 怪我が酷くなって地区予選でられなかったらどうすんのよ?」

こんな時の表情も、あづみちゃんを思い起こす。

中沢さんは中沢さんで、   
(こんな所、翼くんと一緒なんだから)そう呟いていたのを、僕は知らなかった。

中沢さんの真剣な目に逆らう気にもなれず、彼女に連れられて保健室へ行くことになった。

保健室で手当てをしてもらい、グラウンドへと戻る。
部室でテーピング巻くだけのつもりで抜けてきたので、こんなに時間掛かるとは思ってなかった。

「いきなり練習抜ける形になちゃって、大丈夫かなぁ?」

「大丈夫よ。ちゃんと監督に、
 『岬くん怪我してるようなので保健室連れてきます』って言っといたから」

なんか、手馴れてるよね。
きっと翼くんもこうだったんだろうなぁ?
なんて思ってしまった。


練習に戻ると、僕の代わりの選手が出ることになっていた。
監督の隣りに座って練習を見学することにした。

「さすが、余裕だなぁ」
 「
「マネージャーといちゃついて、試合に出なくてもいいなんて」

心無いチームメートの言葉にすかさず反応したのが、中沢さんだった。

「なんですって?」

「中沢さん・・・」

食ってかかろうとする彼女を止めようと立ち上がった際に、痛めた足で踏み込んでしまった。

「うっ・・・」

痛みのあまり声が漏れる。
しかめっ面になっているのが分かる。

「無駄口叩いてる暇があったら、グランドへ入れ」

監督の怒号が飛ぶ。

「それから、岬、お前は帰れ」

「・・・」

「病院行って怪我治すのが先だろ?」

キャプテンが続けた。

そして、

「インターハイ地区予選、いや、その前までに治してこい」

と監督に言われた。

「この意味、わかるな?」

そう聞いてきたのはキャプテンで・・・。

「はい。ありがとうございます」

中沢さんは嬉しそうに、

「岬くんやったね。おめでとう」と言ってくれた。

突然帰ることになっちゃって、みんな心配するよね?
そのことに対するフォローを中沢さんにお願いする。

「ああ、大丈夫よ。頼まれました」との返事。
やはり、こういうことに関しても手馴れてる気がするんだけど。
きっと翼くんもこんなだったんだろうな?
中学時代もきっとこんな感じだったんだなぁ。
なんて思ってしまった。           

           

「ところで、岬くん、一人で病院行ける?」

と心配そうに聞いてきた。

「えっ?」

「だって、その足で歩けるのかなって・・・」

「ああ、そうだよね。うん。バスあるし大丈夫だよ。色々ありがとう」  
彼女にお礼を言い、監督とキャプテンに挨拶をし後にした。






2ー②はこちら
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