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ぬくぬく

「ごめん、あづみちゃん。もうだめ」

そう言って、私の膝に頭を乗せて横になる。
ここは岬くんの部屋。

駅前で待ち合わせして、ランチして、そのまま岬くん家に直行。
どこにも寄らずに帰ってきた。

私達はソファーに並んで座っていた。

「え、ちょっと岬くん?どうしちゃったの?」

膝枕で横になっている彼の顔を覗き込むと、顔色が悪いのに気付いた。
おでこに手をやる。熱がある。

「ばかね、なんでこんな状態で、出かけてるのよぉ」

「だって、あづみちゃんに会うの久しぶりだったから。
 会いたかったんだよね」

体調が悪い中待ち合わせ場所にやってきて、一緒にランチしてたの気付かなかった。

色々とお互い忙しくて、なかなか予定が合わなかった。
数ヶ月ぶりのデート。

「ばかぁ。だったら、最初っから岬くんちでよかったじゃないのぉ」

「うん。でも、どうしても、あのお店行きたかったからさ・・・」

今日、ランチしたお店は、テレビの特集で取り上げられていたお店。
岬くんと一緒に見ていて、
『ここ行ってみたいな』って私が岬くんに言って・・・。
それ覚えていてくれて予約しておいてくれたところ。

テレビの影響って凄いね。
予約もなかなか取れないそうだ。

だからって、そんなに気を使ってくれなくてもいいのに・・・。


でも、わたしも、久しぶりに岬くんに会えるのがとても嬉しくて、
かなりはしゃいでて、岬くんの様子に気づかなかった。
ごめんね。気付いてあげられなくて・・・。

「岬くん、寝るならちゃんと寝たほうがいいよ。
 明日も練習あるんでしょ?
 だいだいさ、出かけて風邪こじらせて明日休むことになったらどうするつもり?」

岬くんの腕を取りベッドに押し込む。

「へーき、鍛えてるから。一晩寝ればよくなるよ」

風邪薬を探し出し、水の入ったコップと一緒に差し出す。
そして、冷え○タをおでこに貼ってあげた。


「ありがと。あづみちゃん。なんかごめんね。
せっかくのデートが看病になっちゃって・・・」

「そんなこと、気にしないでよ」

一緒に居られるだけでいいんだから。

「それより、ねえ、岬くん、夕食何が食べたい?」

「え、あづみちゃん、作れるの?」

疑いの眼差しを向けて聞いてくる。

「失礼ね。私だって一人暮らし始めて、少しは料理するようになったんだから」

「そうなんだ。でも、リクエストするほど、レパートリーないんでしょ?」

とちょっぴり、意地悪な言い方をする。

「なによぉ、その言い方ぁ」

「じゃあさ、パエリアとか・・・。ビーフストロガノフとか・・・」

「う~、なによそれぇ」

作れないの知ってて意地悪なんだから・・・。

「シーフードピザは?」

「生地から作れって言うの?」

「あとは・・・」

「もういい。どれも作れないのばかりリクエストして・・・」

ふふふ・・・。
からかう様に笑われてしまった。

「もう。ばかぁ」

岬くんの頭から、枕を引き抜く。
そしてそれで、岬くんの顔を叩いてしまった。

「うわっ。なにすんだよ。病人に向かって・・・」

「病人ならおとなしく寝てろ」

「ところで、『ばかぁ!』ってあづみちゃんの口癖?
 なんかよく言われてるような気がするんだけど・・・」

『ばかぁ!』のところだけ私の真似をして言ってきた。

「・・・」

一瞬言葉に詰まる。
確かに否定できないかも。

「ばかぁ!もう、知らない。あっ・・・」

また言っちゃった。

あはは・・・。
岬くんは笑ってるし・・・。

からかわれたことに拗ねて、岬くんからそっぽむく。
自分でもわかってるわよぉ。こんなことで拗ねるなんて子どもぽいって・・・。


「ごめん。あづみちゃん」

そう言って腕を掴んできた。

「あづみちゃんが作ってくれるものならなんでもいいよ」

振り向いた私に、いつもの優しい笑みをくれる。
ほんとは、岬くんが、こうやって甘えてきてるんだってわかってる。

「買い物に行って来るから、ちゃんと大人しく寝てなさい」

まるで、お母さんが子どもに言うようなセリフを残し買い物に行った。





戻ってくると、私が帰ってきたことにも気付かず、岬くんはぐっすり眠っていた。


お鍋にお湯を沸かして、粉末のダシを溶かす。
ご飯と一緒に、白菜、人参、大根、お豆腐を煮込む。
そして最後に溶き卵。お醤油で味付けする。

うん。完了。あづみちゃん特製粥。お粥というより、雑炊かな?








「岬くん、起きられる?」

「う~ん・・・」

「目、覚めた?夕食どうする?起き上がれる?」

ボーっとした顔の岬くん。

「雑炊持ってこようか?」

「うん」

温めなおした雑炊をお盆に乗せて持ってきた。
岬くんちって、ちゃんとレンゲがあるんだ。
(あのラーメンのおつゆ飲むスプーンの名前がレンゲということは、
 後で岬くんに教えてもらうことになった。)


「はい」

とりあえずサイドテーブルに置く。

「食べさせてくれないの?」

なんて、恥ずかしくなることを言ってきた。

「えっと、」

「こういうシーン憧れてたんだよね・・・。だめ?」

熱で潤んだ目で言ってくるもんだから、あたふたな私。
でも、その目に負けてしまった。

レンゲに一口分のせて、ふうふうと息を吹きかけ冷ます。
そして岬くんの口に運ぶ。

ふふふ、

岬くんは照れ笑い。

「なんか、こういうの恥ずかしいね」

「なによぉ、こっちだって恥ずかしいんだからぁ。さっさと食べてよぉ」

「うん・・・。やっぱいいかも」

「いまさら、そんなぁ・・・。岬くんがこうして欲しいって言ってきたんでしょぉ」

もはや、真っ赤な顔した自分がいるのがわかる。

「もう、さっさと食べてよ」

「ん~、じゃあ」

お互い照れながらなにやってんだか・・・。
こんな感じで、お茶碗によそった一杯分を綺麗に食べた。



「お茶飲む?」

湯飲みに入れたお茶と、薬とお湯を持って来て、テーブルに置く。

「口移しで飲ましてくれるの?」

「もう、ばか、ばかばかばかぁ!」

本日何度目だろ?また、ばかって言ってしまったよ。

そして、本日2度目の枕攻撃。
再び枕で顔を叩いてしまった。

「わ~ん、冗談なのに・・・。ひどいや」

岬くんは、ぶつぶつ文句を言ってる。

お茶を口に含み、岬くんに口付ける。

「うっ・・・」

「叩いたお詫びだから・・・。 ちゃんと、薬飲んでよ」

早口でそう言って、慌てて寝室から飛び出した。
扉を背に寄りかかり、ふぅ~と、息を吐き出す。

もう、めっちゃ恥ずかしかったんだからぁ・・・。

でも、岬くんの顔、かわいかった。
目をきょとんと見開いて、びっくりした顔してた。
うん、あの顔見られただけでも収穫かも・・・。





朝、目を覚ますと私はベッドで寝ていた。
あれ?岬くん?
隣に岬くんの姿はなかった。

起きてキッチンに行くと、朝食の支度してる岬くんがいた。

「あづみちゃん、おはよ」

物音に気付いた岬くんが挨拶してきた。

「おはよ。もう大丈夫なの?」

「うん。あづみちゃんが看病してくれたからね。ありがと。」

昨日の事を思い出し、顔が火照っていく。

「あづみちゃん、帰らなかったんだね」

私は、寝室の床にクッション置いて、ベッドに寄りかかって寝た。

「だって、気付いたら寝ちゃってたんだもん」

「ふふ、その割には、ちゃんと布団と毛布かけてたよね」

そうなんだよね、本当は帰る気はなく、だから、ちゃんと毛布と布団かけて寝ていた。
ついでにいうとシャワーも借りたし・・・。

朝、目を覚ますとベッドの横に寝てる私がいた。
で、抱き上げて、ベッドに寝かせたそうだ。

「起してくれればよかったのに・・・」

「くす、そうだね。でも、抱き上げても起きないんだもの」

ほんとは、朝ではなく、明け方、まだ薄暗い時だったらしい。
汗をかいて目を覚ました。
その時には熱は下がって、体調はよくなっていたそうだ。

ソファーの上に毛布があったのに後々気付いてしまった。
私をベッドに寝かせた後、ここで寝たそうだ。
そんな訳で起さなかったそうだ。

まったく、治ったとはいえ、昨日の今日でしょ。
ソファーで寝て、ぶり返したらどうするつもりだったのよぉ。
でも、知らない人が見たら、熱出して寝ていたとは思えないなぁ。

二人で、向かい合って朝食を食べる。
目が合うと私の心臓は跳ね上がる。

昨日は、熱があったから、病気だったから、甘えてきたんだよね?
また昨日みたいな無茶なこと言わないよね?


昨日の事を思い出して、ちょっぴり気まずい気分になる。
でもそう感じてるのは私だけなのかな?

岬くんはいつもと変わらない顔してた。
むしろ、すっきりした顔をしてた。






あとがき

すいません。
書いてる私が暴走しました。
止まらなくなりましたですぅ。
で、恥ずかしい・・・。
これだけでめっちゃ恥ずかしいです・・・。

書いてる私が照れてるもんだから、二人して照れちゃって・・・。
恋愛ごっこのようになってしまった^^;

まあ、あづみちゃんにだけは甘えられる岬くん。
そんな感じの話が書きたかったので、これはこれでいいか・・・。

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